突然ですが、営業をされているビジネスパーソンの皆様は、こんな風に思ったことはないですか?
『競合他社との価格競争で、単価を下げて売上はあがるけど、利益が下がる一方だ…。』
私自身も広告業界で営業の経験があり、競合他社とのコンペティションが多く、最終的に価格を下げて低単価で受注することが、しばしばありました。
今回は、専門用語を使わずにわかりやすい言葉でマーケティングを伝えるプロとして知られているウォンツアンドバリュー株式会社代表の永井孝尚著書『100円のコーラを1000円で売る方法』について紹介していきます。
2011年に出版し、2012年にはビジネス書部門にて年間ランキング第1位を獲得。シリーズ累計60万部を突破した本書の魅力をお伝えしたいと思います。
まずは当書のデータから。
皆様は「御社の事業はなんですか?」と質問された際、どのように答えますか?
本書では『自社の事業をどのように定義するかで、企業の戦略が大きく変わってくる』と断言していて、その重要性を『製品志向と市場志向』という観点からご紹介いたします。
また本書のタイトルになっている『100円のコーラを1000円で売る方法』を『バリューセリング』という観点からご紹介いたします。
この記事の目次
製品志向と市場志向
本書では2つの化粧品会社を例として、それぞれの違いを紹介しています。
化粧品会社Aは自社の事業を「化粧品の販売製造」と定義しています。(製品思考)
化粧品会社Bは自社の事業を「ライフスタイルと自己の実現、そして夢を売ること」と定義しています。(市場思考)
将来、技術革新がおこり化粧品よりも効率的な美容方法が生まれ、化粧品が売れなくなる時が来るかもしれません。その時に生き残る会社はどちらでしょうか。
製品志向:「いいものを作れば売れる!」という考え方のこと
市場志向:市場のニーズを戦略の中心に据える考え方のこと
上記の例を整理すると、製品志向の化粧品会社は、製品ありきの考え方のため、競合他社の存在や不景気などの外的要因が自社の事業に大きく影響してしまうかもしれません。
一方、市場志向の化粧品会社は、あくまで化粧品は「ライフスタイルと自己の実現、そして夢を売ること」の手法の一つとして捉えているため、外的要因が新しいビジネスチャンスになる可能性があります。
つまり市場志向の会社は、常に顧客が求めているものを考え、時流が変わっても製品(化粧品)だけに囚われず新しいサービスを提供していくことができます。
変化の多い世の中で、常に顧客が求めている製品やサービスを提供し続けている企業は、まさしく『市場志向の企業』であり、本当の意味で顧客に寄り添った企業と言えるのではないでしょうか。
100円のコーラを1000円で売る方法
本書ではザ・リッツ・カールトンホテルでは、コーラを“1035円”で販売していると紹介しています。
ルームサービスでコーラを注文すると、最適な温度に冷やされ、ライムと氷がついたこの上なく美味しい状態で、シルバーの盆に載ったコーラがグラスで運ばれてくるそうです。中身はどこにでも販売しているコーラにも関わらず、筆者は「今までの人生で最高に美味しいコーラだった」と表現しています。
ザ・リッツ・カールトンホテルが販売しているのは、コーラではなく心地よい環境で最高に美味しく飲めるという体験です。つまり、サービスという目に見えない価値に値段をつけることが、100円のコーラを1000円で売る方法のカラクリなわけです。
最後に
今回は『製品志向と市場志向』『100円のコーラを1000円で売る方法』について簡単に紹介させていただきましたが、本書では他にもマーケティングにおける重要な考え方が多く紹介されていますので、ぜひ本書をお読みいただければと思います。