未来を予想した本

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book marks MAGAZINEのメインコンテンツ『“あの人”のおすすめ本』第三弾。
第三弾は、国会議員に直接コンタクトが取れる政治プラットフォーム「PoliPoli」を運営する株式会社PoliPoliの伊藤 和真社長におすすめ本をインタビューしました。まずは伊藤社長のプロフィールからご紹介します。

氏名 :伊藤 和真
◯会社名:株式会社PoliPoli
◯役職 :最高経営責任者(CEO)
◯経歴 :F Venturesの東京インターンとしてスタートアップ投資に関わった後、2018年春に毎日新聞社に俳句アプリを事業売却。2018年2月に株式会社PoliPoliを設立。 現在、慶應義塾大学4年生。現役学生としてはじめて、九州大学にて非常勤講師をつとめた。

◯twitter :@kazuma12222




政治家が分かりやすく書いた政策から有権者が共感するものを見つけ、様々な手段で政策を実現するための応援ができる、政治家と有権者双方のニーズを満たした新しい政治プラットフォーム「PoliPoli(ポリポリ)」

◯会社HP  :https://www.polipoli.work/


19歳の時に初めて衆議院選挙に行ったんです。その時にすごくアナログな世界だなと感じました

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—PoliPoliを始めるまでの経歴を教えてください。

伊藤社長 慶應義塾大学に入学したんですけど、元々僕は俳句とブレイクダンスが好きだったんです。ダンス好きの友達はいたんですけど、俳句が好きな友達は周りにいなかったんですね。
インターネット上にシェアできる俳句のアプリやサービスがなかったので、自分でプログラミングして俳句アプリを世の中に出してみたら、すごい反響があって、「インターネットはすごい面白いな」と感じたんです。
そこからVC(ベンチャーキャピタル)の事業をされているF Ventures社にインターンとして入って、スタートアップの投資業務に関わったり、イベントの企画をしていて、「ベンチャー界隈って面白いな」と思いました。その中で、趣味でやっていた俳句アプリを毎日新聞社に事業売却したりして、19歳の時に初めて衆議院選挙に行ったんです。その時にすごくアナログな世界だなと感じました。一方、国会議員の街頭演説を聞いた時には、すごいしっかりしてるし、政治が世の中の根本を作っているんだなと感じたんです。
これがテクノロジーによってインターネッ上で広がっていないのがもったいないと思い、最初は趣味でPoliPoliを作って、そこから会社になった経緯があります。


—ありがとうございます。元々政治に関心はあったのですか?

伊藤社長 いつもすごく驚かれるんですけど、あんまり興味はなかったんです。
政治が好きってなると「自民党が…」みたいな政局の話になりがちで、僕はそこにあんまり興味がないんですよね。国や自治体の現場ではあまり馴染まなさそうなベンチャー政策を見て、疑問を持つことがあったのと、ベンチャーが好きなので、ベンチャー政策に関してはすごく興味があります。あとは国づくり自体に興味がありますね。


—それは意外でした。ではPoliPoliの事業内容を教えてください。

伊藤社長 一言でいうと、国会議員に直接コンタクトが取れる政治プラットフォームです。例えば、“ベンチャー政策のこういうところが良くない”とか、“コロナ渦で大変なのでこういう保証が欲しい”とか、そういった提案を大臣も含めて国会議員さんに直接提案できたりします。またそれが実際に法律になったり、制度になっていくようなサービスです。


—ユーザーが国に対して、提案できるサービスってことでしょうか?

伊藤社長 はい。クラウドファンディングみたいなイメージで、国会議員が出した政策を応援できるのと、自分が取り組んでほしい政策がなかった場合には、政策をリクエストすることができます。


—素晴らしいサービスですね。PoliPoliを作るにあたって1番のきっかけはなんだったのでしょうか?

伊藤社長 やはり19歳の時の衆議院選挙ですね。インターネットを駆使すれば、何かできるんじゃないかと強く思いました。VC事業に携わっていたので、海外のサービスに触れる機会が多かったんですけど、案外『政治×テクノロジー×ビジネス』の考え方はアリだなと思いました。まさかその時は、自分で会社にするとは想像していなかったですけど笑


—資金調達もされていて本当にすごいですよね。今後の展望をお聞かせください。

伊藤社長 第3フェーズまで考えているのですが、第1フェーズは現状で大体見えてきてるのですが、少人数のユーザーで良いので継続的に使えるサービスにすることです。

第2フェーズがベンチャー政策への興味や、何かしら社会に対して興味のある人、社会関心が高い層に継続的に使われるサービスを目指しています。ここでしっかり法律など、国や地方自治体に提案できるようになるのが目標ですね。

最後に第3フェーズが、社会関心がそこまで高くない人が使えるサービスにすることです。例えば近年、選挙に行く人は全体の4割〜5割ですが、その時にちゃんと使われているサービスになっていることが目標ですね。


まさに現代のことを指していて、こんなに的確に当てられるんだと感銘を受けました。

—ありがとうございます。それでは伊藤社長の人生に影響を与えた本を教えてください。

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伊藤社長 僕は小学生の頃から本が好きで、週に1冊は必ず本を読んでます。高校生の時は哲学本が好きで、大学生の時は実用的な本を読んでいました。今回は政治に近しい本なのですが、2冊用意しています。まず1冊目に紹介したい本はギャビン・ニューサム、リサ・ディッキー(著)『未来政府』という本です。あんまり有名な本ではないのですが、カリフォルニア州の副知事が書いた本で、この人はテクノロジー政策をたくさんやっている人で、未来の政治や行政が、テクノロジーでどう変わっていくかが書かれています。
有名な起業家にインタビューをしていて、例えばセールスフォースのCEOに、「どうすれば政治がよくなるか?」を聞いて、もらったアドバイスを本の中で紹介していくんですけど、すごく面白い本です。PoliPoliもすごく参考にした本ですね。特に参考になったのは、『ゲーム感覚で行政や地方自治体に参加するのが良い』という部分です。すごく感銘を受けてPoliPoliにも盛り込みました。


—確かに政治と聞くと、堅いイメージを持ってしまいますね。

伊藤社長 はい、本当めちゃくちゃ堅いんですよ。僕も政治に興味がなかった中で、自分でも使いたいサービスかどうかが大事かと思ってます。
政治は遠い存在に感じるかもしれないですけど、みなさんがよく行く飲食店だって法律に守られているわけですよね。そう考えると法律や国の制度って実はめちゃくちゃ身近にあるんですよ。堅いものだと思われすぎなので、ゲーム感覚で簡単に伝えることが大事だと思ってます。


—確かにそう言われると政治を身近に感じます。この本に出会ったきっかけを教えてください。

伊藤社長 PoliPoliを作る前に、慶應義塾大学の『政治×テクノロジー』の研究をしてそうな教授達にDMを送りまくったんです。そしたら結構返信をいただき、その中で本書を勧められました。


—ありがとうございます。他に事業に活かされているポイントはありますか?

伊藤社長 PoliPoliではpointを貯めると政策を提案できるんですけど、そういう仕組みもこの本で学びました。普通に運営してたら結局誰も参加しないと感じたので、pointを自治体で使えることをイノバック制度というのですが、この本をすごく参考にして取り入れています。


—政治にpoint制度があるとより身近に感じられますね。それでは2冊目の紹介をお願いします。

伊藤社長 昔、世界的な反響を呼んだアルビン・トフラー(著)『第三の波』が2冊目に紹介したい本になります。昭和57年に書かれていながら、現代のことをめちゃくちゃ当てまくってる本です。
これからの時代の話も書かれているんですけど、ここまで当たっていることに非常に驚きました。
また思想的な部分もすごい参考になりました。僕は今の形の民主主義が、このままいくとは思っていません。昔は政党や、イデオロギーで政治は動いてましたけど、今の時代はよく分からなくなってきています。
昔はマス社会でテレビや新聞から情報を発信して、それに対して国民が投票していく社会でしたが、この本によると、これから価値観やニーズが多様化していき、イシュー(問題や論点、課題)が乱立していき、政治自体も多様化に対応しきれなくなると書かれてました。
なんでイシューが乱立していくかというと、例えば教室に生徒が30人いるとして、仮にその中の1人がLGBTQの方の場合、昔であればこのイシューは”30人の世界”の話なので、問題として取り上げられないわけですよね。マスもテレビと新聞しか機能してなかった時代ですし。
そうするとこの1人は29人からいじめられるわけですよ。今はTwitterで繋がることができるので、教室の世界だと30分の1でしかなかったけど、全国でみたら300万人いるとなったとき、これは”1つの声”としてとみんなに認められます。
どんどんこのようなイシューが可視化されて多様化されていくとこの本には書かれてました。まさに現代のことを指していて、こんなに的確に当てられるんだと感銘を受けました。さらにこれからの時代の話も予測しているので、PoliPoliとして参考にしていきたいと思ってます。


—昭和57年に令和の時代を予測していたとは驚きです。書かれているこれからの時代が気になります。この本とはどこで出会ったのでしょうか?

伊藤社長 この本も慶應義塾大学の教授に教えてもらいました。教授に聞くのが一番早いと思っていたのと、それこそ国会議員の方とのつながりが深いので、勧められた本はすぐに読むようにしてます。


これからの時代、ビジネスパーソンこそ政治をうまく使わないといけないと思っています。

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—ご紹介いただいた2冊の本を、どのようなビジネスパーソンにおすすめしたいですか?

伊藤社長 これからの時代、ビジネスパーソンこそ政治をうまく使わないといけないと思っています。今コロナの影響で、かつてないほど法律や制度が変わりやすい状況なんです。
スタートアップなど、規制内容が大事なところに対して、ちゃんと政治を使って規制を良い方向に変えることがすごく大事だと思っていますので、今後チャレンジングなことをしていくビジネスパーソンにおすすめしたい本です。
優秀な起業家ほど、チャレンジングなことをしているからこそ政治をうまく使わないといけないなと思います。基本僕は永田町にいるんですけど、ソフトバンクや楽天の人がいっぱいいるんですよ。IT業界はめちゃくちゃロビーイング(ロビー活動)が弱い中で、ソフトバンクと楽天の話はちゃんと聞くんですよね。孫社長と三木谷社長はうまく政治を使えている証かと思います。
若い起業家やチャレンジングなビジネスパーソンは政治をしっかりと理解して、うまく使うことが重要になってくると思います。


—ありがとうございます。最後に将来の夢を教えてください。

伊藤社長 PoliPoliがちゃんと“国づくりをしていけるサービス”になってほしいと思っています。
生きていく中で、国に問題を感じることって誰にでもあると思うんですよね。例えば「道路が汚い」とか簡単なことでもいと思うんです。そう思った時にPoliPoliが使われるようなサービスになったら良いなと思います。お金を稼ぎたいとかではなく、良いサービスを作ることが僕の夢です。地元が愛知なんですが、ふと電車に乗った時に隣にいる人がPoliPoliを使ってくれていたらすごく嬉しいです。そんな世界を作るのが、僕の夢です。

—伊藤社長ありがとうございました。

最後に

第三弾は、株式会社PoliPoli 最高経営責任者(CEO)の伊藤和真社長にお話を伺いました。
政治をもっと身近にして、みんなで国を作っていくことで、より良い世の中にしていきたい想いを強く感じることができました。特にこれからチャレンジングなことをしていくビジネスパーソンにとっても、非常におすすめの本です。是非伊藤社長おすすめの2冊をご一読ください。





伊藤和真社長とbookmarks運営にて

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