62個の実際に世の中に出たモノを事例に「買う5秒前」の心理がイラストを用いて表現(以下写真)されている。「さぁ本読むぞ!」と意気込まずともパラパラ見ているだけで共感があり面白い当書。
参考書として読むのではなく企画職の方のアイデアを考える際にヒントとなる内容だ。
広告・宣伝の職で働く全ての方にはぜひ読んでみてほしい。
モノを買うときどんな動機で買うだろう。よほどお金が有り余っている人を除いて何も考えずにモノを買っている人はいないのではないだろうか。必ず購買行動にはなにかしらの動機がある。
ただ安いから。流行っているから。そんな単純な話ではない。
当書で私個人が非常に共感したものをいくつか紹介する。
買う5秒前 / 16ページ
黒に惹かれる私
American・expressのセンチュリオンカードなるブラックカードや新宿通りマルイのスターバックスのブラックエプロンもそう、そのただならない雰囲気を醸し出し人を惹きつける“黒”。
今では様々な商品に使われている色だが、『黒』には本物感や高級感というイメージを感じさせる。その『黒』という色に引き寄せられて、その本物感を感じたい。また、周りから憧れを持たれたい心理から購買をしているのではないだろうか。
買う5秒前 / 72ページ
怖いもの見たさなワタシ
時を大きく遡るが、2011年ファミリーマートが発売した「スライム肉まん」を覚えているだろうか。ドラゴンクエストコラボで発売したスライムの形をした青い肉まんだ。
当時学生だった私も、そのいかにもな「スライム肉まん」を怖いもの見たさと話題性からつい購入してしまったのを覚えている。この商品は発売から1週間で予定数量の100万個の出荷を終了したと驚愕の数字を残している。人は怖いもの見たさの心理からも購買をしているのではないだろうか。
買う5秒前 / 88ページ
終わりがあるから楽しいワタシ
『期間限定』。今やあらゆるところで御目に掛かるキラーワードである。
様々な企業がこぞって『期間限定』を使用しているが、終わりがあるという限定感からその時に本当は不要なものでも後々になって「買っておけばよかった」「食べておけばよかった」など後悔をしたくない思いから購買をしているのではないだろうか。
「これなんで買ったんだろう」と後々になって思ったことがある方は多いはず。
そのインサイトとも言える購買動機を独自の視点で紹介されている「買う5秒前」。
全部が全部、その通りではないのかもしれないが、世の中でヒットした商品や、自身が買った商品、使っているサービスに“なぜこれを?”と考えてみると、新しい視点を見つけることができるかもしれない。
重ねて伝えるが当書は参考書ではない。ヒントをくれる書籍だ。
広告・宣伝の職、マーケティングやプロモーションに携わる方々はきっと何かのひらめきになるはず。
ぜひ手にとってアイデアを考える際に役立ててみてはいかがだろうか。