社長になるきっかけをくれた本。

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book marks MAGAZINEのメインコンテンツ『“あの人”のおすすめ本』第7弾。
第7弾は、「世界で自由に活躍できる人を増やす」をミッションに英語コーチング「プログリット(PROGRIT)」をはじめとしたサービスを運営している株式会社プログリットの岡田 祥吾社長におすすめ本をインタビューしました。まずは岡田社長のプロフィールからご紹介します。

氏名 :岡田 祥吾
◯会社名:株式会社プログリット
◯役職 :代表取締役社長
◯経歴 :1991年生まれ。大阪大学工学部を卒業後、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。日本企業の海外進出、海外企業の日本市場戦略立案等、数々のプロジェクトに従事。また、同社を退社後、株式会社プログリットを創業。

◯twitter :@shogookada0206



本気で英語力を伸ばしたい人のための英語コーチングサービス「PROGRIT(プログリット)」

◯会社HP  :https://about.progrit.co.jp/


英語力が上がる瞬間はレッスンを受けている瞬間ではなくて、自分で努力している瞬間。

—岡田社長の社会人の経歴と、起業したきっかけを教えてください。

岡田社長 はい。マッキンゼーに新卒で入社して、2年ほど日本企業の海外進出であったり海外企業の日本市場戦略立案に従事したあと会社を創業して、今4年ほど経ちました。元々大学4年生くらいから会社を設立しようと思っていたので、マッキンゼーに入社して色々ビジネスを学んで力を身につけてから起業しようと考えていました。
当初3年くらいはマッキンゼーにいようと思っていたのですが、2年くらい経った時にこのままダラダラしててもダメだなと思ったのと、ちょうどビジネスアイデアを思いついたタイミングでもあったので、マッキンゼーを退職して起業しようとしました。でも実際そのアイデアをやろうとしたら全然ダメだったんですよ。とはいえマッキンゼーはもう辞めていたので、何かやらなきゃって色々考えたんです。
最初はどうやったら儲かるビジネスモデルを作れるか、市場規模だったり差別化など色々と考えていたのですが、そうじゃなくて自分が好きなことでやりたいこと、最悪上手くいかなくても許せることをやろうと決めました。興味がないのにやってしまって儲からなかったら多分後悔すると思うんですよね。でも興味があって本当にやりたいことをやっていたら、最悪ビジネスが上手くいかなくても後悔はしないと思いました。
もう一つは投資家からお金を調達する考えもやめました。投資家を説得するにはどうしてもビジネスモデルの話が出てくるので、僕と副社長の2人の自己資金で起業しようと決めました。
じゃあ自分たちのお金で始められるビジネスで、自分たちが本当にやりたいことはなんだろうって考えた時に、英語コーチングというのが出てきたんですね。このビジネスなら世の中に新しい価値を提供できるし、日本が抱える英語の問題(英語力が問題でビジネスにおいて機会損失をしている)とかを解決できるんじゃないかと考えました。
もし失敗してもやりたいことをやった上での失敗であれば納得いくとも思いました。最悪お金がなくなっても這い上がれるなと思いこのビジネスで起業しようと決めました。

—ありがとうございます。ちなみに最初に思いついたアイデアとはどのようなものだったんでしょうか?

岡田社長 一番最初に思いついたのが家事代行のビジネスでした。単純に家事代行をするのではなく、B to B to Cのビジネスモデルで考えていました。企業がお金を払って福利厚生として導入してもらい、社員が家事代行を受けれるようなサービスで、社員が働きやすいような環境を作るということを企業に提供できればいいなと考えていました。

—そうだったんですね。そこからどのようにしてプログリットは生まれたのですか?

岡田社長 自分が何に苦労したんだろうと考えた時、英語が一番苦労したんです。本当にすごく苦手だったんですよ。ただマッキンゼーは英語が使えないといけない会社だったので、結構大変で上手くいかない時期があったんです。英語になるとパフォーマンスが落ちるし、本当に胃をキリキリさせながら仕事をしてました。
その中で、やっぱり英語力を身につけないといけないと思って、色々な英会話スクールに通ったりしましたが、全然英語力が上がらなかったんです。その経験もあり僕みたいな人が周りにもいるだろうなって思いましたし、当時の自分自身が欲しかったサービズを作りたいなと思ったんです。当時の自分に対して、価値のあるサービスを提供できれば、多くの日本人の方に意味があることになると思い、プログリットを作りました。

—英語が苦手だった自分に向けて作られたサービスだったんですね。家事代行サービスをやらないと決めてからどれくらいでプログリットを構想したんですか?

岡田社長 23週間くらいですかね。1からアイデアを出して、話し合いをして、ビジネスモデルを決めて、WEBサイトを作ったり、サービスプログラムを作ったりして、もうすぐに始めちゃいました笑
逆に言うと事業会社にいたことがなかったので、起業したら何が必要なのか全然わからなかったんですよね。
会社を経営するには、当然経理が必要だったり請求書があったりとか、当たり前のことを何も知らなかったので、逆にこんな感じでいいかなと勢いで始めてました。ただ当時は本当に何も分からなくて手探り状態でしたね。
そこから半年くらいで軌道に乗り始めました。きっかけは特にないのですが、徐々に少しずつお客様が増えてきて、1ヶ月目1人、2ヶ月目3人、そこから5人・10人みたいな感じで、気付いたら10~15人くらいお客様が増えて、2人であれば全然生活できる感じになったんですね。それまでは生きていけないなって思いながら生活をしていたんですけど(笑)

—最初、広告や宣伝はどうしてたんですか?

岡田社長 最初は資本金も僕らの貯金しかなかったので、丁寧にお金を使わないとまずいなと思っていました。その中で一番安い広告ってなんなんだろうと考えた時にチラシが安いと知ったので、チラシを手配りしてました。学生寮の学生や、TOEIC会場で試験が終わった人たち、英語を普段から活用している某商社の人たちが絶対に通る地下鉄の出口とかで自分たちでポスティングしてましたね。

—設立当初のリアリティーが伝わってきますね。改めてプログリットの事業内容を教えてください。

岡田社長 はい。プログリットは3ヶ月間の期間で英語力を上げるコーチングサービスです。
従来のスクールだと絶対に成し遂げられないようなレベルで英語力を3ヶ月で高めます。具体的には自習をコーチングします。英語力が上がる瞬間はレッスンを受けている瞬間ではなくて、自分で努力している瞬間なんですよね。これは英語に限らずスポーツでも同じですよね。例えばサッカーが上手くなる瞬間って練習試合をしている時ではなく、日々のドリブル練習やシュート練習をしている時ですよね。練習を平日何時間もやっていて、たまに試合をしますよね。英会話って、英会話スクールに行くっていうのが練習方法だと思われていたんですよね。要するにサッカーで例えると、ひたすら週に1回だけ練習試合する感じです。
それだけだと当然上手くならないんですよ。英語も全く一緒で練習が大切なんです。
プログリットでいう練習は「自習」になるんですけど、僕らはその「自習」を一人一人のお客様にあった効率的且つ科学的なプログラムを作って提供しています。
お客様は自分で学習をしないといけないので、僕らがそれを絶対にできるように毎日チャットを使ったり、週に1回は実際にお会いしてコーチングをしており、モチベーション向上もそうですし、お客様の生活にまで踏み込んで、起きる時間や寝る時間、飲み会や仕事の仕方といったことまでどんどん踏み込んで、お客様が自習を継続できるようにサポートしています。
当初はto Cで提供していたのですが、現在はto Bにも力を入れていますね。社員の英語力をあげてほしいと企業の人事部様からご依頼があり、英語研修としてプログリットを提供しています。今は社員全体で160名ほどいるのですが、そのうちコンサルタントが120名くらい在籍しています。

—ありがとうございます。本田圭佑さんもユーザーとお伺いしましたがどのような出会いだったのですか?

岡田社長 本田さんは設立して2年目の時に、お客様からのご紹介で出会いました。
本田さんもプログリットのサービスをすごく気に入ってくれています。本田さんは10年ほど海外でプレーをしているので、今までもずっと色々な先生をつけたりして英語学習をやっていたんですが、かなり苦労をされていたんです。
その中でプログリットを体験していただいたところ「これはすごい!」と仰っていただき、現在まで2年以上続けられていて、実は一番長く受講されているお客様です。1日は24時間しかないですが、睡眠時間を考えるともっと時間は短いですよね。その中で、本田さんは時間の使い方が本当に凄くて。人間の集中力は起きてから寝るまでの間にどんどん落ちていくから、人生において重要なことから1日の中で順番にやっていくんですよね。本田さんがこの2年間、1日の中でまず最初にやることがプログリットで英語の勉強をすることなんです。

この本を見て「経営者ってかっこいいな」って純粋に思いました。経営者になろうという意欲が高まった本ですね。

—ありがとうございます。それでは岡田社長の人生に影響を与えた本を教えてください。

岡田社長 はい。岡田准一さんが主演で映画もやっていた百田尚樹(著)『海賊とよばれた男』です。
大学生の頃に読んだのですが、出光興産の創業者をモデルにした話ですね。石油会社を設立したものの、戦争の敗戦で日本が焼け野原になってしまい、大勢いた社員が生きてるか死んでるかも分からない状況になるんですね。自分たちの本社だけは奇跡的に残ったのですが、そのあとGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)がきて、本当に厳しく難しい状況の中で戦っていく姿が描かれています。
僕は当時から起業したいという想いがあって、この本では経営者の姿がずっと描かれていて、なれるかどうかは別としてこういうリーダーは本当にかっこいいなと感じたんですよね。この本でめちゃくちゃ泣きました。

僕は序盤がすごく印象に残っていて、敗戦もあり会社もボロボロで、借金だけが残っているんですが、さらに石油も売れない状況なんですよね。その時に経営会議で経営陣が口を揃えて、人員整理をしたほうが良いと言っているシーンがあるのですが、社長は「一人も絶対にクビにしない」と言い切るんですね。
彼は「社員は家族」という考え方をしているのですが、そういう風に標榜する会社は山ほどありますけど、それを実践する会社ってほとんどないと思うんですよね。発言と行動が一致するリーダーはとても大事だと思いますが、彼は早くから会社にいる人も最近入社した人も関係なく「絶対クビにしない」といって精神を貫いていくんですよね。とはいえ社員が山ほどいても仕事がない状況なんですよ。そこで彼は敗戦して皆がショックで立てない状況の中で立ち上がり「仕事がなければ仕事を作る」という当たり前だけどなかなかできないことを、「日本は復活する」と言って社員を鼓舞して前に進んでいくリーダーだったんですよね。
この姿に僕は非常に感銘を受けました。この本を見て「経営者ってかっこいいな」って純粋に思いましたし、経営者になろうという意欲が高まった本ですね。


—胸が熱くなるお話ですね。具体的にビジネスに活かされているポイントはありますか?

岡田社長 そうですね、世界を変えようとすると抵抗勢力がいっぱい現れるんですね。でもそれを突き破るというか。結局、抵抗勢力が出ないで上手いこと会社が大きくなるって、僕はあり得ないと思うんですよね。
僕らは英語業界で起業して英語コーチングのサービスを作って、今までの英語業界とは違うとは言わないまでも、今までのやり方じゃダメだと業界に一石を投じようとしているんですよね。
こうしないと世界は変わらないって貫こうとすると、色んな抵抗勢力があってもちろん批判もされます。でもそれは当たり前だと思っていて、むしろそうでないと世の中は変えられないと僕はこの本から学びました。この本があったからこそひるまずに、前に突き進む力は学べたかなと思います。

もう一つは、出光興産は社是や会社の文化があるんですけど、それは普通の会社から見たらおかしいんですよね。だから海賊と呼ばれているんです。ただ僕はおかしいことをやっている会社が世界を変えると思っていて、みんながいいよねって思うことをやっていては、偉大な会社はできないと思っているんですよね。
それは色んな歴史が証明していると思うんですけど、今まで繁栄してきた大きな会社が周りから見ると非常識な文化を持っていたりとか、それやらないほうがよくない?ってみんなが思うことを、文化や理念にして、実際にそれを実行してきてると思うんですよ。そういった部分の重要性もこの本から学んでいます。
会社を経営している時にも、例えば社員が「世の中普通こうですよ」っていうことを「そうだよね」って僕は基本ならないんですよね。それもこの本から影響を受けていて、それは普通の会社でやることで、プログリットはそういう会社じゃない、だからこそ世界を変えれるんだって僕は信じているので、強い意志を絶対に曲げないとか、周りに流されないとか、発言したことを絶対に実行するとか、その辺りはこの本から学んで今の会社経営に活きていると思います。


—実際にその社員の方との会話って具体的に教えてもらえますか?

岡田社長 はい。例えば僕らには『Go Higher – 高い目標を掲げよう』という価値観があるんです。
ただ、高い目標を掲げようという文化があることによって、社員は高い目標を掲げないといけないというプレッシャーになって精神的に辛くなると思うので、これは言わないほうがいいと言われたことがあります。
でも僕らは平和に会社経営をして、なんとなく人を幸せにする中小企業じゃないんだと、世界を変える企業だからこそ高い目標を掲げる。世界を変える企業っていうのは、普通じゃないことをやらなければいけない。もちろん苦しむこともあるんですけど、それでも高い目標を掲げ続けるんだ。というような会話をしたことはありますね。

—個人的に気になるのですが、設立当時と今の目的は変わってきていますか?

岡田社長 あんまり変わらないですけど、やっぱりどんどん大きくはなりますよね。
一番最初に思っていたことは、日本の英語業界に変革をもたらそうと、日本で一番英語力が上がるサービスを作ろうと言ってたんですよ。それはもちろん今も変わらないんですけど、もう少し大きいことを考えていて、今のミッションは『世界で自由に活躍できる人を増やす』ことです。一人でも多くの人が、国境とか気にせず、グローバルで活躍できるようになる。みんなが地球人になれるような世界を作っていきたいなと思っています。

皆がグローバルで挑戦できる国にしていくことが、自分が生きている大きな価値だと思っています。

—色々とお答えいただきありがとうございます。この本に出会えたきっかけを教えてください。

岡田社長 岡田社長 あんまり覚えていませんが本屋さんで偶然目について買ったんだと思います。(笑) 
実は僕は大学生になるまで漫画を含めて本を一冊も読んだことがなかったんです。
国語がすごい苦手で、自分は字を読むのが嫌いな人間なんだと大学に上がるまで思っていました。
活字は入試の勉強のために読んでたくらいです。文は攻略するものであって楽しむものじゃないと思っていました(笑)
そこから大学に入って初めて漫画「ワンピース」を読んで、「意外と面白いな」と思ったんですね。
本に関しては大学時代は10冊も読んでないと思うんですけどそのうちの一つが『海賊とよばれた男』でした。今は本を読むことは本当に最高だと思っています。僕はビジネス書と小説を読むのですが、小説は自分の知らない世界をかなりリアリティーを持って知れるところが好きですね。
紹介した本の次に好きな本が、映画化された「マスカレードホテル」という本なんですけど、ホテルマンの仕事ぶりがすごく模写されていて、ホテルマンってこんなにプロ意識を持って働いていたんだって初めて知って、それからホテルに行くことが楽しくなったんですよね。
自分が生きている世界は、世の中のほんの一部だと思うので、本を通して色々な世界を知れるのはすごく楽しいですね。ビジネス書に関しては、著者が本気で書いていると分かるからこそすごく勉強になります。
今は通勤時間やお風呂の時間を使って本を読んでいますので、毎日1時間くらいは本と関わりを持っています。


—ご紹介いただいた本はどのようなビジネスパーソンに勧めたいですか?

岡田社長 ビジネスマン全員に薦めたいですね、本当にやる気が出る本なので。特に、起業している人は勇気がもらえると思います。あとは起業を考えている人も、触発されて一歩を踏み出せる後押しになる本かと思います。


—最後に岡田社長の最終目標を教えてください。

岡田社長 正直なところ今は無いです。人生どうなるかわからないので。ただ少なくとも今時点において僕が生きている意味は、「日本人は英語が苦手」というイメージを払拭して、他の国と遜色なく英語力で劣らない、そして皆がグローバルで挑戦できる国にしていくことが、自分が生きている大きな価値だと思っています。今はそれに邁進したいと思っています。

最後に

第7弾は、「世界で自由に活躍できる人を増やす」をミッションに英語コーチング「プログリット(PROGRIT)」をはじめとしたサービスを運営している株式会社プログリットの岡田 祥吾社長にお話をお伺いました。
プログリット設立秘話や、本田圭佑氏のお話など興味深い内容ばかりでしたが、特に岡田社長が「経営者」になるきっかけになった本の内容は僕自身も非常に感銘を受けました。ご紹介いただいた本には、“真のリーダーとは何か”そのヒントが散りばめられている内容になっているかと思います。特に経営者の方や起業を考えているビジネスパーソンにおすすめの本になっています。是非お手に取りお読みいただければと思います。

岡田祥吾社長とbookmarks運営にて

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