人間として一番大切なこと

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『日本を代表する経営者になりたい!』『世の中がよりよくなるために、社会に貢献できるサービスを作りたい!』など、志を高く持ち、夢に向かって努力をしている方にお勧めしたい本が、今回ご紹介する稲盛和夫著『生き方』です。稲盛氏は、世界的大企業である京セラとKDDIの創業者であり、日本航空(JAL)再生にも貢献した日本を代表する経営者の一人です。そんな経営のカリスマが、成功の礎となった「人生哲学」をあますところなく語りつくした一冊が、発行部数100万部を超える大ベストセラー『生き方』です。
夢をどう描き、どう実現していけばいいのか?人間として最も大切なこととは何なのか?が本書には書かれており、サッカー日本代表の長友佑都選手や、元野球日本代表監督の小久保裕紀氏など、トップアスリートたちも座右の書として読まれています。

まずは当書のデータから。




私の成功に理由を求めるとすれば、たったそれだけのことなのかもしれません。つまり私には才能は不足していたかもしれないが、人間として正しいことを追求するという、単純な、しかし力強い指針があったということです。

生き方/ 20ページより引用

私たちがこの世に生まれた意味、人生の目的とは何かと考えたときに、稲盛氏は力強く『心を高めること』『魂を磨くこと』と答えています。京セラを27歳の時に設立した際、経営に無知だった稲盛氏が心に決めたことはたった一つで、『とにかく人間として正しいことを正しいままに貫いていくこと』だったそうです。それは、

・常に前向きで建設的であること
・感謝の心をもち、みんなといっしょに歩もうという協調性を有していること
・明るく肯定的であること
・善意に満ち、思いやりがあり、やさしい心を持っていること
・努力を惜しまないこと
・足るを知り、利己的でなく、強欲でないこと



子供のころ親や先生に教わったこと、そして大人になるにつれて忘れがちになる単純な規範を、そのまま経営の指針に据えて、守るべき判断基準としたそうです。このシンプルな規範に沿った経営をしていくことで迷いなく正しい経営をすることができたと本書では書かれています。
私の主観になってしまいますが、きっと人間として正しいこととは何か?という問いに対する倫理感や道徳感はきっと誰もが持ち合わせているものでしょう。一方で歳や経験を重ね、次第に薄まっていくものもあるのではないでしょうか。その上で『人間として正しく在りなさい』と、人としてどう生きていくのか、正しい心に導いてくれるのが本書です。今回はその中でも3つに絞りご紹介をしていきたいと思います。




考え方を変えれば人生は180度変わる


人生・仕事の成果=考え方×熱意×能力


生き方/ 24ページより引用


稲盛氏の人生の方程式は人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」と書かれています。掛け算がポイントで、先天的に才能がある人に熱意がなければいい結果は得られないし、逆に能力が高くなくても情熱を持って努力すれば、能力に恵まれた人よりもはるかにいい結果が得られると言っています。そして最も大切な要素が『考え方』で、他要素に比べてマイナスが存在するとのことです大元の考え方がマイナスの場合、優秀で熱意があっても結果はマイナスにしかならないと書かれています。逆に先述した正しい考え方するかしないかで、人生は180度変わるということです。





求めたものだけが手に入るという人生の法則


「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」

生き方/ 20ページより引用 松下幸之助氏の講演中の言葉


伝説の経営者・松下幸之助氏の講演がきっかけで、稲盛氏は『心が呼ばないものが自分に近づいてくるはずがないという信念を持つようになります。松下氏が※ダム式経営の話をした時に、質疑応答で男性が立ちあがり「ダム式経営は確かに理想です。しかし現実的にそれができない。どうしたらできるのかを教えてください」と不満をぶつけた時に、松下氏が伝えた言葉を上記にて引用しております。これを聞いたときに稲盛氏は体に電流が走るような大きな衝撃を受けて、真理を知ったと書かれています。


※ダム式経営とはダムの用途は、水をためて天候や環境に左右されずに水量を一定にコントロールすることで、
 それと同じように経営も景気のよいときこそ景気の悪い時に備えて蓄えをする、余裕のある経営のことを指します。





あふれるほどの夢を描け、人生は大飛躍する


自分の人生を自分の力でしっかりと創造していける人というのは、
かならずその基盤として、大きすぎるくらいの夢、身の丈を超えるような願望を抱いているものです。

生き方/ 77ページより引用 


稲盛氏は京セラを世界一のセラミックスメーカーにしたいと大志を抱き、従業員に夢を語り続けたそうです。夢を共有し続け、いつしかその夢は従業員の夢になり、夢は結実することになります。夢を描くからこそ、創意工夫が生まれ、ひたむきに努力をする意欲を持ち、人格が磨かれていく。明るい未来を描いた人間にしか、明るい未来は訪れないと語っています。稲盛氏は誰よりも人として正しく生きることを徹底し、夢を発信して人を巻きこみながら、事業を営み誰からも愛されてきた人なのでしょう。




最後に

いかがでしたでしょうか?
人生は自分の考え方次第で大きく変わってくること、そして何事も求めないことには始まらないこと本書を通じて学べました。また自分自身正しい考えを持って夢に向かって努力ができているのか?と再認識させられました。稲盛氏は、当たり前に思える「正しい考え方で正しく夢を持ち、正しく行動する」ことを誰よりも意識してきたからこそ、日本を代表する経営者と呼ばれているのではないでしょうか。
今回の記事では、他にもたくさんの稲盛氏の哲学を知ることができます。気になる人は是非ご一読ください。