心をつかむ、聞く力。

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トークが上手い人に憧れがあるけど話すのが苦手。うまくコミュニケーションが取れない。
仕事やプライベートでも『話す力』は大事だ。
しかし、もっと大事なことは、相手に『聞く力』ではないだろうか。これは話す力のように、得意不得意ではなくテクニックであり、話す力を磨くよりも比較的容易に身に付けることができるものだ。

今回ご紹介するのはビジネスシーンだけにとどまらず、様々なシーンで活用できる、『聞く力』について書かれている一冊で、今日からでも実践できるテクニック本だ。
著者である菊原氏は大学卒業後トヨタホームへ営業職として入社し、7年もの間、ダメ営業マンだったという。しかし、話す力を磨くことからから聞く力を磨くことに考え方をシフトし、その後4年連続でトップ営業マンにまで上り詰めたという叩き上げの営業マンだ。現在は起業され、営業セミナーやコンサルティング事業を行う、営業サポート・コンサルティング株式会社、代表取締役、菊原智明氏の『一瞬で心をつかむ!聞く力』をご紹介する。


コミュニケーションスキル=話す力
ではない。

一見、コミュニケーションスキルと聞くと、“話上手”のことのように思うが本書では菊原氏の実体験に基づき、『聞く力』の重要性とそのテクニックが紹介されている。その一部を厳選して紹介していきたい。

話を聞くだけで愛されキャラになる

ご存知の方も多いかもしれないが、人には返報性の規範というものがあり、“してもらった分は返そう”、“してあげた分はしてもらいたい”という心理が働くというもの。相手の話を積極的に聞いていればおのずと相手は好感をもち話を聞いてもらいたい相手、愛されキャラになるという。
人は自分の話をしている時、脳内で快楽物質が分泌されるという話を聞いたことがあるが、たしかに、誰しも話を聞いてもらえるのは気持ちが良いものだ。
コミュニケーションを円滑にし、心を掴む一つの技術として活用していきたい。

話を聞く時は聞くことだけに集中する

相手の話を聞いている際、みなさんは何を考えて話を聞いているでしょうか?
私自身、実体験であることですが、相手の話を聞きながら、“どのようなアドバイスをしよう”、“こういう事を伝えよう”と考えながら聞いていることがあります。しかし本書によると、人の脳は記憶、思考、注意といった行動を2つ以上同時に行うとエラーが起きてしまうため、話を聞く時は聞くことだけに集中をしないと、話の中での重要な事柄に気づけなくなるとある。
やりがちなことではあるが、くれぐれも「考えながら聞く」という2つの行動を並行せず、相手が話をしている時は聞くことだけに集中して大事な話を逃さないように注意していきたい。

ひと工夫あるアイスブレイクで距離を縮める

営業をされている方なら、アイスブレイクは実践されているかもしれない。私自身、アイスブレイクは場の空気を和やかにして、円滑に進めるために使っている。ここまでは実践している方も多いかもしれないが、本書ではアイスブレイクにひと工夫することで『これから始まる会話の枠組みを作る』役割もあるという。
本題に繋がるアイスブレイクを用意して、場の空気を和やかにするだけではなく、本題への枠組み作りまで意識して実践したい。

コミュニケーションは「自分の話2割、相手の話8割」が最適

これも返報性の規範により、「話を聞いて欲しい」という欲求を満たしてあげれば相手は次は相手の話を聞いてあげたいという気持ちになる。また、人は自分の話をしている時は短く感じ、相手の話を聞いている時は長く感じる傾向にあるため、感覚として、自分の話は2割程度に抑えて相手の話に耳を傾けることに集中しましょう。

自発的に決めたと思ってもらう聞き方

認知的不協和という心理現象をご存知でしょうか。
認知的不協和とは人が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感の心理現象のことをいいますが、例えば、取引先の相手に対して「なぜ自分と仕事をすることを選んでくれたのか?」と聞いたとします。大抵の人はここで悪いことを言ったりはしません。例えば「信頼できそうな人だったから」と言うでしょう。そうすると例えそれが口先だけのリップサービスであっても認知的不協和が働き、口にした通りの行動取ろうとするそう。つまり、信頼感が増していくということです。
信頼関係を強固にしていくために必要な1つの技術です。


最後に

いかがでしょうか。今回は本書から5つ抜粋してご紹介した。本書ではご紹介したような著者の実体験から得たテクニックが50以上紹介されている。ビジネスシーンのみならずコミュニケーションの場において活躍する『聞く力』。
是非話すのが苦手と言う方や、営業スキルをさらに磨きたいという方も、今日から実践できるテクニックが詰め込まれた本書を手に取り『相手の心を一瞬で掴む、聞く力』を学んでみてはいかがだろうか。